広島高等裁判所岡山支部 昭和26年(う)516号 判決
被告人は公判廷で身体の拘束を受けないことは刑事訴訟法第二百八十七条に規定するところであるが、同規則第四十四条はこれを特に公判調書の明示的な記載事項としていないのであるから公判調書にそのことが明記していないからとて直ちに被告人が公判廷で身体の拘束を受けたものと認むべきではなくむしろ公判調書の他の記載から被告人が身体の拘束を受けなかつたことが推定されれば公判調書上おのずからそのことが明らかにされているものと云わなければならない。そこで所論の公判調書の記載を見るに身体の拘束については立会の検事又は出頭した弁護人から異議の申立がされた形跡も見えないのであるから被告人は右の公判廷で身体の拘束を受けなかつたものと認めなければならない。従つて原審の訴訟手続には所論のような違法はなく論旨は理由がない。